「風のがっこう」MLメンバーの皆さまへ
暑中お見舞いを申しあげます。6月19日から7月13日まで訪日し、30度を超える蒸し暑い日を体験してきました。帰国したデンマークは厳しい乾燥で、農地への水撒き機械を所有しないシェーランド島、フェン島の農家の穀類は、水不足の影響で20~30㎝の成長しかせず、それでも、実をつけたのか大型のコンバインでの収穫が始まっていました。通常ならコンバインでの麦刈りの後に出る麦藁は、大きな山となって畑に残るのですが、わずかの量の麦藁が残る程度でした。西北部ユトランド半島に所在する小生の家の芝生はすっかり枯れ、茶色になっていました。2018年に降ったデンマークの雨量を調べてみましたら、2009年~2017年の平均雨量(1月~6月)に対し今年2018年(1月~6月)の雨量はマイナス72.2㎜という数値になっていました。デンマークの年間雨量は約720㎜ですので、大幅な水不足になっています。今年の7月は、通常年の7月(83㎜)に比べて、殆ど雨が降っていないので、また多大な水不足になるようです。
不順な天候下で私たちが出来ることは何か、恐らく受け入れて耐えることしか方法は無いと思うのですが、農業、漁業など少なくとも自然を相手に生活を営んでいる人たちの生活環境は厳しくなるのではないだろうか。また、訪日中に見聞した九州、四国、近畿地方での豪雨による水害や土砂崩れの被害を受けた人たち、これからの生活はどうなるのだろうか。今後同じような自然災害が発生する可能性が多い中で、私たちはどのような方策を取り、生き残ることが出来るのだろうか。何れにせよ、自然災害に対し、個人の力でのは太刀打ちできないので、地域や国全体でその対策を練る必要があると思う。そんな中、自然被害を受けた人たちの生活を支えるために国民全員で負担し合う「自然災害支援金制度」を作ることも一つだと思う。
訪日から帰った翌日14日のインターネット情報に、「化石燃料への投資をやめる世界初の国」としてアイルランドを紹介していました。同情報によると、アイルランド議会は木曜日(2018年7月12日)化石燃料を取扱う企業の所有株を売却することにした。アイルランド議会が化石燃料業界への支援を取りやめることにした理由は、地球温暖化に防止に向け、石炭や石油業界の言いなりにならないためだとしています。アイルランド国営投資基金である「アイルランド戦略的投資基金」の保有額は890憶ユーロあり、向こう5年間に化石燃料業界150社を対象に約3憶ユーロに相当する株の売却を決めた。化石燃料業界への投資に関しては既に、教会、大学、またニューヨーク市、年金基金なども投資は取り止めしている。また、デンマークのMP基金(高等学校の先生など高学歴者126,000人の加入の年金基金)は石炭、石油業界への投資は取りやめしたと報告した、と書いていました。
デンマークのオイルショックを教訓に取り入れられた環境とエネルギー政策の成果は、今日において世界最大の風力発電機メーカーを育て、国内外に多くの風力発電機を設置して来ています。デンマークの風力発電設備量は2018年3月時点で約572万kW に達し、人口一人当たりの設備量は約1kW になりました。そして風力発電の発電量はデンマークの電力供給の4割を越え約43%になっています。風力発電機メーカーであるべスタス社の業績について、同社の株価の推移でみると2013年7月の一株約100クローネが5年後の今日400クローネになっていることから見て、地球温暖化防止を進める会社として世界からの好評価を得た結果だと思います。
日本はまだまだ猛暑が続くと思いますが、体調管理に努め、暑い夏を乗り切ってください。
2018年7月20日 デンマーク ウアンホイにて
ケンジ ステファン スズキ
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「原発は導入しない」と議決
省エネと再生可能エネルギーを推進
高齢者介護の責任は行政にあり
必要とすればだれでもが受けられる
強まる食の安全志向
国内有機食品は供給不足
自然と調和が息づく豊かな食文化
デンマークでも、癌で亡くなる人が多くいます。
デンマークでは、食事が原因で癌になる人の割合は約10%と云われています。癌予防の一つとして、食事に注意を払うことだということが判りました。