デンマーク経済にとって、外国人労働者は重要な役割を果たしています。今日、デンマークで働く外国人労働者数は約40万人です。新聞報道によりますと、2008年の外国人労働者の国籍は主に隣接国のドイツ、スウエーデン、ノルウェーそれにポーランド人でこの４か国で約半分を占めていたのが、今日では4分の1まで減ったと書いていました。2023年における主な外国人就労者数と、2008年から2023年までの伸び率、それと就労先業種は表1の通りですが、ポーランド、ルーマニアア人が上位を占めています。

表１．デンマークで働く国別に見た外国人数及び伸び率と就労業種

(Kilde :Jyllands-Posten man. Den 23. dec. 2024, s.19)

表１で見る通り、シリアからの就労者が増えた理由はシリアの内戦から避難した人達と、ウクライナ人はロシアの侵攻によって避難した人達などです。デンマークで働く人たちは外国籍人でも労働条件は労働組合が監視しているため、長時間で安く雇用されることは無く、家族での生活においても子供たちの教育費は無いこと、医療費の自己負担が無いことなどり守られた生活をしています。ルーマニアから10年前に移住し、今日、大型トラックの運転手職についている37歳の男性のインタビュー記事によりますと、彼の納税後の給料は月3万クローネ（約65万円）で彼は喜んで納税する、語っていました。その理由は教育が受けれること、医療が整っていること、将来の生活条件が整っていることを、また道路が良く整備されていることなど、全てがうまくできていることを上げています。またインドから移民しデンマークで情報、通信業に務める若い夫婦の二人合わせた月収は13万クローネ（税込み約286万円）と語られています。

デンマークで酪農と豚生産が主な農業収益となっている農業業界には、約4,400人ウクライナ人が働いていると言われています。デンマークの専業農家戸数は、2008年の13,308戸から2023年には6,294戸に減りました。その分一戸当たりの経営規模が大きくなり、農業従業員数が増え、そのことで外国人労働者の数が増えたことが理由になっています。デンマークの農家の収益の推移は、

図１で見る通りですが、2024年利子返済後の収益額は700億クローネ（約1.54兆円）に達したと報じられています。

デンマーク経済の成長の理由の一つは、地球温暖化の影響で作物が採れなくなった国や地域が増えるなか、豚肉などの肉類や牛乳、チーズなど酪農品物資など、安定して輸出する物があること、が言えると思います。その他にもいろいろあります。

デンマークの風力発電機メーカー, ベスタス社 ( Vestas) が 契約した2024年の受注量は15,088MW（1500万ｋW）内日本向け3150ｋ

W）となっていますが、これも生活に欠かせない電力エネルギーをいかに安く供給するか（風車からの電力供給は時によってマイナス電力料金となることもある）それによって、電力の輸出に繋げ、デンマークの国家経済に発展に繋げています。

デンマークに所在するシーメンス・ガメッサ (Siemens- Gamesa)　は昨年の12月末世界最大の風力発電機21ＭＷ（21,000ｋW）の試作品を製造し北ユトランドに所在する風力発電機テストセンターに搬入しました。世界で最大級の風車で、ナセルの重量は700トン、タワーの高175メートル、羽根の突端までの高さは300メートル近くになるという超大風力発電機です。この風車を設置するためのクレーン車の重量は7000トンで3,000トンを245メートルまで持ち上げることが出来るHCR-3000 型と呼ばれている物です。

図１

図１はデンマークの農業収益推移を表わした図表で、2000年から2025年の見通しを含めた利子支払い後の収益額の推移です。単位は10億クローネ（約220億円）です。（Kilde :Jyllands-Posten onsdag den 18. dec. 2024 s.7）

デンマーク人の生産性について、ヨーロッパ諸国の中でデンマーク人の労働時間数は年間ドイツに次いで二番目に少ない1,372時間で、生産性はノルウエー、アイルランドに次いで３番目に多いGNP時間当たり104ドル（2022年）となっています。

また、デンマークには初任給という給与制度はなく、それぞれの職種別による報酬制度が作られていますが参考までにデンマークの大学卒業生の民間企業に就職した人達の初年度の給与額は図2の通りになっています。

図２

図２．デンマークの大学新卒の民間企業における月額給料推移（2014年～2024年）

2024年民間企業に就職した大卒の平均給与額は43,000クローネ(約94万円) で前年度比5.1パーセント増となっています。

出典：Jyllands-Posten mandag den 16. Dec. 2024

デンマークの政治は、経済界が必要とする人材の育成に、国家予算の約12パーセントを充て、それによって生産性の高い行動力のある人材を育成しています。そのことで余裕のある国家財政を組み、高齢者の私も大きな恩恵を得ています（納税後の国民年金額は2024年から今年2025年には、月額当たり1,319クローネ約29,000円相当増額になり、年間にすると、この12倍の約35万円の増額ということです）。

デンマーク、ウアンホイにて

2005年1月5日

ケンジ　ステファン　スズキ