デンマークにおける電気自動車数と充電ヵ所について(20250204)

① 電気自動車数と充電箇所 

デンマークの乗用車台数は286万台、内電気自動車数は約33万台となっています。デンマークで販売された2024年の新車台数は173,047台でこの内電気自動車の占める割合は51.5 パーセントでした。

図1 デンマークにおける乗用車台数の2020年と2024年の比較

図1.2020年乗用車総台数2,7233,353 台の内訳:67%:ガソリン車、30%:ジーゼル車、残り3%ハイブリット車と電気車

2024年乗用車総台数2,864,790台の内訳:61%:ガソリン車、23%:ジーゼル車、残る16%:ハイブリッド車と電気車

(Kilde: Jyllands-Posten 31.jan.2025)

図1で見る通りデンマークにおける乗用車台数は2020年から2024年には約14万台増え、割合にしますと約5.2%と増えました。この中で電気自動車について見ますと下記図2の通り電気自動車の数が急速に増えていることが解ります。

 

図2.デンマークにおける電気自動車数の2019年から2024年の推移

 

緑棒:電気自動車新車販売台数

オレンジ棒:電気自動車の累積数

(Kilde: Jyllands-Posten 31.jan.2025)

デンマークにおける電気自動車の販売は、今後とも伸びると予測され、2023年のおける電気自動車数は160万台に達すると見込まれています。2024年デンマークで販売された電気自動車のトップ10車名は以下の通りです。

表1.デンマークで2024年に販売されたトップ10車種の電気自動車名と台数

  車名        台数

 Tesla  Model Y    10,471

 Skoda Enyaq i V     5,654

 Volkswagen ID.4     5,652

 Tesla Model 3    5,527

 Audi Q4e-tron    5,307

  Peugeot 208    3,036

  Volkswagen T-Roc  2,987

 Volkswagen ID.3    2,930

 BMW 3        2,855

  Nissan Qashqai    2,72

(Kilde: Herning Folkeblad 3. januar 2025)

デンマークにおける電気自動車の普及と共に、充電ヵ所も急速に増え、2024年末全国の公共充電ヵ所数は30,439kヵ所と前年に比べ69.5%と増えたと報じられました*。

* Jyllands-Posten fredag den 24.jan.2025

デンマークにおける電気自動車用の充電ヵ所は、大きく分けると3種類に分かれており、充電の運営管理は民間団体です。充電ヵ所の内訳に関し、2024年8月初めにおける17社のデータによりますと、下記表2の通りになっています。

 

表2.2024年8月時点におけるデンマークの電気自動車用充電箇所と内訳

 

  充電箇所 通常の充電 短時間の充電  急速充電 合計
  充電量 22kW未満 23kW~99kW 100kW以上  
  充電時間0kW~ 約6時間 30分~60分 10分~30分  
   充電箇所数   23,874 ヵ所 1,539か所  3,470か所 (注)   28,883 ヵ所
  充電装置取付場所  住宅、職場、駐車場 ショッピングセンター 高速道路の休憩所、給油所  

 (Kilde:インターネット、(注):2024年末3,999か所に急増した(kilde: JP 24.jan.2025)

電気自動車のkWh当たりの走行距離は機種によって異なり、例えばTesla Model 3 のkWh当たりの走行距離は6.7㎞、Kia EV 3ではkWh当たり6.4km、と語られています。

また、電気料金についても機種によって異なりますが、デンマークの標準的電気自動車の年間走行距離は16,000kmを基にして試算したkm当たりの単価はTesla Model 3 だと0.34Kr/km 、Nissan Leaf だと0.47Kr/km となっています。他社の電気自動車を含めたkm当たり単価は0.383 ~0.4.33 Kr(約8.5 ~9.9円)と言われ、ガソリン車やジーゼル車に比べ安くなっています*。

16,000 km 走るのに必要な電力量は16,000×0.34kr=5,440Kr(119,680円)です。

*ガソリン車の場合は、ガソリン車(スズキイグニス1.3リットル)の走行距離10,870㎞で、購入したガソリン代は計7,015kr(154,000円)でkm当たりのガソリン代は7015 Kr÷10,870kmで0.65Kr/kmとなり、上記電気自動車に比べ高くなっている、ことが解ります。

 

② デンマークの風力及び太陽光発電量について

2024年デンマークにおける風力発電量と太陽光発電を合わせた発電量は2023年のそれに比べ1200GWh 多い24,339GWh となりました(243億3900万kWh)*。この発電量は同年の電力消費量384億kWの63.4%で、2023年の割合と同じになっています。デンマークにおける風力発電と太陽光発電の推移を見ますと、表1の通り近年発電量の伸び率は減っていますがそれでも毎年発電量が増えています。* 参考:日本にの2022年における総発電量に占める太陽光と風力発電割合は10.2%内風力発電約0.9%。

 

表1.デンマークにおける風力発電と太陽光発電量の推移 (2021―2024年)

  億kWh  伸び率(%)

2021 174.97 -

2022 214.33   22.5

2023 230.93   8.0

2024 243.39   5.4

(Kilde: Energy supply 10.jan. 2025)

2025年1月27日付け朝日新聞に「広がる蓄電所ビジネス、金融や建設業も背景に増える『出力制御』という題名で日本における蓄電所の建設が増えていることを報じていました。記事によりますと和歌山県に事業費80億円をかけ出力4万8千kWの蓄電所を建設し、昨年の12月1日から運転を始めたと報じていました。報道によりますと蓄電容量は11万3千kWhで一般家庭約1万3千世帯の一日の電力使用量に相当する、と書いていました。

2022年における日本の火力発電所の発電量は全体の72.7%で太陽光と風力発電の占める割合は10.2%でこの10.2%の発電設備への「出力制御」のために、国の補助金を含め80億円のお金を蓄電するための設備に投資しました。

デンマークは63.4%でも「出力制御」はしていません。それは自然エネルギー資源を利用した風力発電や太陽光発電はもともと発電の制御をしないで代わりに系統連系を国営にし(2004年国営化)全ての発電設備からの電力を国がまとめて管理・運営することにし送電線の補強を図り国内以外にも国外との系統連系を図ることで電圧バランスを調整しているためです。それと同時に電気自動車の導入も出力制御対策の一環で、電気自動車のバッテリーは充電と共に蓄電器になっています。そのようなことから、デンマークのおける電気自動車の導入は太陽光、風力エネルギーで発電での蓄電器の役割を果たし、二酸化炭素の削減と共に、ガソリンやジーゼル車の二酸化炭素の削減に繋げることが出来るのです*。結果として国全体の二酸化炭素削減と石油の輸入代金の節約にもなっているのです。

* ガソリン車の二酸化炭素排出量は走行距離キロメートル当たり(㎞)263.1g-CO2で、ジーゼル車の場合㎞当たり335.7g-CO2と語られています。

 

2025年2月4日

デンマーク、ウアンホイ

ケンジ ステファン スズキ