2022年を迎え早くも1か月が過ぎようとしています。デンマークの天候は例年に比べ気温が高く今年に入って殆どマイナス気温になっていません。雪も無くその代わりどんよりした天候が続いています。今年もデンマーク便りを書きHPに掲載していきますが、時間があった時にでも眺めて頂ければ嬉しいです。
1.デンマークのコロナ感染規制解除発表について
2022年1月26日、フレデリクセン首相はコロナ感染問題で導入していた規制全てを2月1日(火)から解除することを発表しました。デンマークのコロナ感染確認者数は今月に入り急増し、例えば1月26日の感染確認者数は4万5千人と多く、にもかかわらず2月1日から全ての制限(マスク着用、コロナパスの提示義務、飲食店の開店時間制限、映画館、美術館の入館制限など)解除した背景には、急増しているオミクロン株(Omikron)感染者の症状は軽く、感染者数に対し、入院を必要とする感染者数は少なく特に集中管理を必要とする患者数は感染者全体に対し僅か40人前後になっていること、ワクチン接種を受け終了した人の割合は65歳以上の人口では95%に達していること、(人口全体では80.9%)など、踏まえ、コロナは社会的重大な病気ではなくなり、コントロールが可能だと見做したためです。デンマークのコロナ感染者数はこの先も増えると見ていますが、2月中旬にはピークを超え、その後は減っていくと政府・議会そして関係官庁は見ています。コロナ感染防止策として、今後とも5歳までの年齢層へのワクチン接種を継続し、またコロナ感染検査は自己に重点を取りながらも公共のPCR検査も継続することにしています。
デンマーク政府・議会は2020年3月11日国家の重要課題にコロナ感染(Covid-19)を社会病として位置付け国民・住民の行動制限を採り入れ、この過程でコロナ感染が著しかったミンク業界を閉鎖する策を導入するなど、各種感染予防策を採ってきましたが今年(2022年)1月26日夜、世界の国に先駆け、これら全ての制限を2月1日から解除することを発表しました。この結果、国外からのデンマーク入国者はコロナワクチン接種を条件に隔離無く入国で出来るようになりました。ただ、上記で触れましたがデンマークのコロナ感染者数がこの先も増え続けるとのことから、その動向を見て行きたいと思っています。
2. デンマークの洋上ウインドファーム増設決定ついて
2022年1月25日デンマークのエネルギー大臣はドイツのエネルギー会社RWE(創業1898年本社ドイツのEssen)との間で1,000MWの洋上ウインドファーム建設に関する契約を結びました。この洋上ウインドファームの名称はデンマーク語でThor havvindmølleparkと呼び、2018年デンマークの「洋上ウインドファーム2030年計画」として政府与野党間全会一致で導入を決めたものです。同洋上ウインドファームの建設計画は3つの工事に分かれており、その最初の工事として1,000MW(百万kW)の建設をドイツのRWEが落札したということです。同ウインドファーム(名称:Thor Wind Farm I/S) の建設にはデンマークの建設支援金は一切なく、一方、同社の海域使用権は最小30年間その見返りとしてデンマーク政府に対し28億クローネ支払ったとのことです。見込み建設費は約155億クローネで*(約2600億円)、見込み発電量はデンマークの百万世帯分**と言われフル稼働年は2027年としています。
* デンマークの洋上ウインドファームの建設費は基礎工事、系統連系費を含め1MW(1000kW)当たり1400~1800万クローネ(約2億4,500万円から3億1500万円)と言われ、よってキロワット当たりの建設費は日本円で約24.5万円~31.5万円ということです。
* *デンマークの一人当たりの電力消費量は年間1,500kWh. 平均的家庭(大人2名と子供2名)の電力消費量は年間約4,500kWh.となっています。
図 デンマークの主な洋上ウインドファームとThor Wind Farmの建設海域(●)岸から22㎞沖合
デンマーク海域に設置された洋上ウインドファームの数は、16か所(2022年1月現在)で総設備量は約2,300MW(2,294.1MW)です。デンマークでは毎日の風車の発電量がインターネット上に公開されています。それによりますと2022年1月28日(金)の風車の発電量は7,260万kWhで
内訳は洋上3,460万kWh, 陸上3,800万kWh、となっています。同日における風力発電による国内電力消費量への供給率は65.4%となっていました。翌日の1月29日(土)では発電量9,530万kWh, (内訳:洋上3,630万kWhh、陸上5,910万kWh)国内電力消費量に占める割合94.2%。となり、その日の風速により発電量が著しく変動することが解ります。そういうことから、風力発電の導入においては変動する電流量に対応できるケーブルの容量が必要で、デンマークでは国内外合わせ、ケーブル補強に努めています。
3.風力発電機メーカーVestas 社の業績と持続可能な企業について
2021年ベスタス社の業績(暫定、2022年1月26日発表)によりますと売上高15億5,870万ユーロ(約2兆円)で当初の見込み通りの売上高となっています。EBIT (Earnings Before Interests and Taxes の略で金利税引前利益) は4億6,100万ユーロでよって利益率約3%で見込み利益率4%には達しなかった。見込みに達しなかった理由はエネルギー価格の上昇による原材料の値上がりや運送費の値上がりがあったためだとしています。この中には例えばコンテナー代の急騰があると思います。何れにせよ、Vestas の風車の値上がりがこの先避けられないものと思っていますが、世界の代表的風力発電機メーカーとして、持続可能な経営を続けるためには赤字経営は避けるはずです。Vestas 社は「世界で最も持続可能な企業100社2022年*」の中で1位に選ばれ、2位にはデンマーク会社で創業1874年、従業員約3,000人の食品、飲料を手掛けるクリスチャン・ハンセン(Chr. Hansen Holding)が選ばれ、7位にはデンマークのエネルギー会社ウアステッド(Ørsted, 日本ではオーステッドと呼んでいる)が選ばれています。
* カナダの会社が出版している「Corporate knights list」による。
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デンマーク、ウアンホイにて
ケンジ ステファン スズキ